かやぶき民家の魅力

神戸の茅葺民家

茅葺民家とは

茅葺民家は「茅」を材料にして葺く屋根の構造を持った民家のことです。「茅」とは、ススキやヨシなどを刈り取って束にしたもので、屋根を作るのに用いる材料です。
茅に用いる植物によって、藁葺や草葺など区別した呼び方をすることもありますが、全て茅葺です。
茅葺は身近に手に入るススキやヨシ、イナワラ、コムギなどを用いており、定期的な葺き替えが必要で、その時に出た古い茅を肥料として次に屋根に葺かれる茅が育つ、とても有機的な仕組みの中で維持されています。

近年は、茅葺屋根を金属の屋根材で覆ったもの(金属葺)が多くあります。
これは開発等で茅場が少なくなってしまったことや、かまど等を使用しなくなったことで煙が出なくなったために茅屋根が腐りやすくなってしまったことなどが考えられます。
金属板で覆うことで、葺き替えのための茅の確保や雨漏りの心配がなくなります。
このような理由から、昭和頃から金属葺が増加していきましたが、金属葺であっても、茅葺と同じ構造を持つ茅葺民家です。

神戸の茅葺民家

神戸には北区・西区を中心に約800棟もの茅葺民家が残っており、建立時期も江戸時代以前のものから昭和初期頃まで幅広くあります。
例えば、北区山田町にある「箱木家住宅」は、鎌倉時代後期から室町時代前期に建てられた日本最古の民家と考えられおり、国の重要文化財にも指定されています。
鈴蘭台には江戸時代中期に庄屋として建てられた「内田家住宅」が残り、今は定期的な公開やイベントに活用されています。

また、同じく茅葺屋根を持つ歴史的な建物として、「農村歌舞伎舞台」が北区には数多く残り、現在も上演に使用されるなど、神戸の文化や暮らしと茅葺はとても近い存在です。
このように茅葺民家は当たり前のように生活の中にあり、今まで愛され続けています。
神戸では、茅葺民家のある風景を残したいと、行政をはじめ、所有者のみなさま、神戸で活躍されている茅葺職人の方々、地域団体など、様々な方面から多くの方が保全活用に向けた活動をしています。

特集「未来につなぐ、茅葺民家」

数多くの魅力があふれる街、神戸。その一つに「古き良きものを残していく文化」があります。
旧居留地や異人館などの近代建築だけでなく「茅葺民家」が北・西区を中心に数多く残っています。
しかし、茅葺民家は年々減少。茅葺民家を保存し、市民の皆さんにも親しみを感じてもらうために、
これからどのような取り組みが必要になるのでしょうか。
茅葺職人の相良育弥さんと久元市長、ルイーズ広報専門官が北区の内田家住宅で神戸の茅葺民家の未来について考えました。
(平成28年10月号広報紙KOBEより)

特集「未来につなぐ、茅葺民家」